将棋の猫棋士、虎井聡太四段（3）が15日都内某所のリビング将棋会館で将棋名猫戦・Ｃ級２組順位戦の５回戦に臨み、ひふもん九段と対決した。

序盤は大接戦だったが、さすがベテランのひふもん九段。「矢倉囲い」へと駒を進め、徐々に虎井四段を追い詰めていった。

ひふもん九段の攻撃が陣地内に近づいていく…終始守りに専念せざる得ない状態の虎井四段。絶体絶命のピンチに陥った。

対局開始から６時間が経過し終盤にさしかかり、余裕のせいか、ひふもんも毛づくろいを始めた瞬間に、形勢が変わるようなある出来事がおこった。

どこからともなくカラオケのメロディが流れ始めたのである。

歌は「いい猫旅立ち」これは困った。ひふもんは将棋そっちのけで歌い始めたのである。 プロの対局では、わずか一手の指し間違いが命取りになることが多くある。

ここは集中してほしいところだったが、ひふもんにこの歌を歌うなということは、アリクイにアリを食べるなというくらい無茶な話だ。 虎井四段がこのチャンスを逃すはずがない。

カラオケの歌詞を見ながら歌うために、後ろを向いたひふもん九段のスキを狙って彼の持ち駒を減らすことに成功したのである

2番まで歌ったのがいけなかったのだろう。持ち時間がなくなる寸前で将棋に戻ってきた彼であったが明らかに形勢が逆転していた。

「まいりました。」対局開始から１０時間以上がたってひふもん九段は王を取られる流れを変えることができず頭を下げた。

「ひふもん九段がよそ見したから幸運にも勝つことができた。一つでも上に行けるよう、よそ見のチャンスを今後も逃しません！」と虎井四段は、すがすがしい笑顔で話してくれた。

一方ひふもん九段は、今回の敗因は歌ったことではなく歌詞を覚えてなかったことに尽きると話した。歌詞を覚えてテレビを見なくても歌える練習に今励んでいる……。