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自分自身が新しい場所へ足を踏み入れたとき、その場所の空気にわたしは染まっておらず、異分子としてその場所に存在しはじめる。

その場所に微かに残された知らない人の空気、感触。

足を踏み入れた一瞬にしか味わえない高揚感から、誰かが残した痕跡の中に自分自身を存在させることが好きだ。

前にこの場所に存在していた人物が去り、どのくらいの時間が経過したのか、知る由もない。

主が去り、空気は籠り、まるで時間が止まったかのような空間。

そんな静寂の空間にわたしはひっそりと根を張り、わたしが場所の記憶に刻まれていく。

わたしの行動すべてがこの硬直した場所においては、新しい一歩となる。

時計の針が進むにつれて過去は塗り替えられ、わたしの記憶が少しずつ上書きされていく。

最近、気に入った場所ができた。

ここは、人々が憧れを抱くようなタワーマンションでも高級住宅でもない。

決して美しくない、壁には穴すら空いている古びた集合住宅。

申し訳程度に残っていた、くたびれたカーテンや埃を被った机を見ると、元の主の生活環境が垣間見える。 誰がどんな生活を送っていたのか、なぜこの場所を捨てたのか…

わたしがそんなことを考える必要は全くないのだが、ついつい思いを馳せてしまう。

かくいうわたしの生活はと言うと、すっかりこの水に慣れてしまい、日々インターネットを介したショッピングモールでくだらないものを売買する生活。

今日の売上だって新たな商品の仕入れに遣ってしまえば利益はわずかしか残らない。

夕方、わずかに残った小銭を手に階段を降り、慣れ親しんだとは言わないまでもすっかり道を覚えてしまったスーパーマーケットに行く。

もっぱら、お気に入りの珈琲とその時に食べたいものを買って帰路につく毎日が繰り返されている。

きっと、この生活にわたしは満足しているはずだ。

これ以上、なにを求めると言うのだろう。

"People"


Oct 1, 2022 Listed. Sold for 0.41 ETH.

NASTY LAUNDRY_LIFTcc collection image

現在、この世界において国家を統括しているのは政府ではなく民間の一企業である。

理想郷を創り、秩序を維持する企業「Aerie Security」 破壊・創造・維持の三神一体を信念に新しく、自由な世界を創造することを目的とする「Trimurti」 貧困からか、格差からか。得体のしれない何かに不満を持ちながらこの社会を生きる者の集まり「Fuel」 公的機関から民間企業へと堕ち、金と秩序が渦巻く「警察」 そして、この世界に流され思想を持つことを忘れてしまった「民衆」

何事も物語の始まりは一辺の汚れもない、純粋な白。 しかし時が経つにつれ、徐々に目に見えないほどの汚れが生まれる。 小さな汚れを積み重ねることでやがて大きな汚れとなり、最後には廃れる。

汚れは洗濯や漂白を繰り返すことで一見、本来の美しさを取り戻したかのようにも見える。 しかし、根底では傷つき、それはいずれ大きな過ちを生み出す。

正義を追い求めるがあまり、悪になることもある。悪の中にも正義の一面がある。 まさに、正義と悪は表裏一体。 現在、この世界に確固たる正義は存在しない。

NASTY LAUNDRY. from LIFT

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自分自身が新しい場所へ足を踏み入れたとき、その場所の空気にわたしは染まっておらず、異分子としてその場所に存在しはじめる。

その場所に微かに残された知らない人の空気、感触。

足を踏み入れた一瞬にしか味わえない高揚感から、誰かが残した痕跡の中に自分自身を存在させることが好きだ。

前にこの場所に存在していた人物が去り、どのくらいの時間が経過したのか、知る由もない。

主が去り、空気は籠り、まるで時間が止まったかのような空間。

そんな静寂の空間にわたしはひっそりと根を張り、わたしが場所の記憶に刻まれていく。

わたしの行動すべてがこの硬直した場所においては、新しい一歩となる。

時計の針が進むにつれて過去は塗り替えられ、わたしの記憶が少しずつ上書きされていく。

最近、気に入った場所ができた。

ここは、人々が憧れを抱くようなタワーマンションでも高級住宅でもない。

決して美しくない、壁には穴すら空いている古びた集合住宅。

申し訳程度に残っていた、くたびれたカーテンや埃を被った机を見ると、元の主の生活環境が垣間見える。 誰がどんな生活を送っていたのか、なぜこの場所を捨てたのか…

わたしがそんなことを考える必要は全くないのだが、ついつい思いを馳せてしまう。

かくいうわたしの生活はと言うと、すっかりこの水に慣れてしまい、日々インターネットを介したショッピングモールでくだらないものを売買する生活。

今日の売上だって新たな商品の仕入れに遣ってしまえば利益はわずかしか残らない。

夕方、わずかに残った小銭を手に階段を降り、慣れ親しんだとは言わないまでもすっかり道を覚えてしまったスーパーマーケットに行く。

もっぱら、お気に入りの珈琲とその時に食べたいものを買って帰路につく毎日が繰り返されている。

きっと、この生活にわたしは満足しているはずだ。

これ以上、なにを求めると言うのだろう。

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現在、この世界において国家を統括しているのは政府ではなく民間の一企業である。

理想郷を創り、秩序を維持する企業「Aerie Security」 破壊・創造・維持の三神一体を信念に新しく、自由な世界を創造することを目的とする「Trimurti」 貧困からか、格差からか。得体のしれない何かに不満を持ちながらこの社会を生きる者の集まり「Fuel」 公的機関から民間企業へと堕ち、金と秩序が渦巻く「警察」 そして、この世界に流され思想を持つことを忘れてしまった「民衆」

何事も物語の始まりは一辺の汚れもない、純粋な白。 しかし時が経つにつれ、徐々に目に見えないほどの汚れが生まれる。 小さな汚れを積み重ねることでやがて大きな汚れとなり、最後には廃れる。

汚れは洗濯や漂白を繰り返すことで一見、本来の美しさを取り戻したかのようにも見える。 しかし、根底では傷つき、それはいずれ大きな過ちを生み出す。

正義を追い求めるがあまり、悪になることもある。悪の中にも正義の一面がある。 まさに、正義と悪は表裏一体。 現在、この世界に確固たる正義は存在しない。

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